自己破産による海外旅行・出張への影響とは
- 「自己破産すると海外旅行に行けなくなるという噂は本当?」
- 「出張が多い仕事だけど自己破産が悪影響を及ぼすことはある?」
自己破産は、裁判所に認められると借金をゼロにできる強力な方法ですが、同時に、財産を没収されるなど複数のデメリットがあります。
本ページでは、このデメリットの1つとして誤解が蔓延している、「自己破産による海外旅行・出張への影響」について説明していきましょう。
自己破産はこんな手続き

自己破産は、あなたが返済不能状態(借金を返済していくことが厳しい状態)であることが裁判所に認められると、借金をゼロにすることができます。
自己破産では、「破産」と「免責」という2つのステップを踏みます。
「破産」では、あなたの20万円以上の財産をお金に換え、カード会社(あなたがお金を借りている消費者金融・銀行・クレジットカード会社など)に均等に分配していきます。
それでも足りない分は「免責」という形で、裁判所にゼロにしてもらえます。自己破産は、所有財産と引き換えに借金がゼロにできるという認識で問題ないでしょう。
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自己破産による海外旅行や出張への影響
自己破産について流れている噂、「自己破産をすると海外旅行や出張に行けなくなる」は本当なのでしょうか?
結論から言えば、「自己破産手続き中に限り、海外旅行や出張に制限される」ということになります。
自己破産の手続き期間は、約6~10か月程度です。
所有している財産が何も無ければ3ヵ月で完了してしまうケースもあり、裁判所に申し立てをしてから自己破産を認められるまでの期間に限り海外旅行や出張に制限を受けます。
つまり、自己破産が完了してしまうと、海外旅行や出張には何も関与しませんので、いつ誰とでも自由に海外旅行に行けますし、出張ができないなんてことはありません。
自己破産中は居住地を離れることができない?
それでは、なぜ「自己破産をすると海外旅行や出張に行けなくなる」という噂が広まっているのでしょうか。
自己破産には、財産の差し押さえを行う管財事件と、差し押さえを行わない同時廃止(=差押さえする財産が無い)の二種類があります。
これらのうち、管財事件では、破産者が財産を隠したり、売ってしまったりすることを防ぐため、生活にいくつかの制限がかかります。(※カード会社に返済できる分はキッチリと返済に充てられるように、裁判所が任命した破産管財人によって財産が管理されます。)
その制限の一つに、「破産者の居住に係る制限(破産法37条一項)」というものがあります。
これは、「自己破産の手続き中の人は、裁判所の許可なしに住んでいるところから離れてはいけない」という制限です。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=416AC0000000075#238
破産管財人(財産を管理する人)は、処分するべき財産であるかどうかを判断するために、あなた自身に調査をしますが、その際にあなたの所在が不明であれば、手続きが進まないこともあり、常に連絡がとれる状況を作っておかなければなりません。
この制限があるからといって、近所への買い物などが制限されるわけではありませんが、海外旅行や引っ越しなどのように居住地を一定期間以上離れる場合は、裁判所の許可が必要となります。
海外旅行や出張に行けなくなるという噂は、この自己破産の手続き中の制限が元となって、事実がねじ曲がって独り歩きしてしまったのでしょう。
また、逆を言うと、裁判所の許可さえ得れば、自己破産(管財事件)の手続き中でも居住地を離れることができます。
このように、自己破産を行うと、手続き中に限り海外旅行や出張が制限されることがありますが、裁判所の許可さえ得れば問題ありませんので噂ほど厳しい制限ではないのです。
自己破産による職場・仕事への影響
自己破産をするとパスポートが取れなくなるってホント?
海外旅行をするためには必ず必要になるパスポート。
自己破産をすると、パスポートの取得に影響はでるのでしょうか。
これは、自己破産中・自己破産後を問わず、パスポートの取得に制限がかかることは一切ありません。
パスポートの取得に制限がかかるのは、主に犯罪を犯していたり、その疑いがかかっている場合のみです。
言い換えれば、高飛び防止という目的以外で、パスポートの取得が制限されることはないのです。
つまり、自己破産をしたからといって、パスポートが取れなくなるということはありませんし、それによって海外旅行や出張ができない、ということもありえません。
自己破産をすると住民票や戸籍に記録される?
自己破産すると海外旅行が不便になる可能性あり
自己破産をしても、海外旅行や出張そのものに影響は殆ど出ないことはご理解頂けたことでしょう。
ここで、注意して欲しいポイントとして、自己破産によるデメリットの1つであるブラックリスト。
自己破産をすると、約10年間ブラックリストに載ってしまいますので、クレジットカードが使用できなくなってしまいます。
あなたが弁護士や司法書士に自己破産を依頼すると、まずカード会社に受任通知というものが送付されるのですが、この受任通知をカード会社が受け取ると、個人信用情報機関に登録されているあなたの情報に金融事故(自己破産をしている事)が追加登録されることになります。
この金融事故情報は、全国のカード会社で共有されおり、自己破産後にあなたがクレジットカードの発行を申請したとしても、カード会社は「自己破産した人にお金は貸せない」と考え、審査を通さなくなります。
つまり、自己破産をしてから約10年間、クレジットカードが使用できないということです。
海外では、クレジットカード文化となっている国も多く、クレジットカードが利用できないと不便に感じるかもしれません。
また、クレジットカードを利用できないと、アメリカに入国することができなくなる可能性があります。
実は、アメリカに入国する際に行う入国申請(ESTA申請)の支払い方法がクレジットカードのみなのです。
しかしご安心ください。
これらの問題は、デビットカードを作ることによって解決可能です。
デビットカードは、クレジットカードのように利用できるカードですが、クレジットカードと違い、自分の銀行口座から直接お金を支払っています。
ですから、信用情報に事故履歴が残っている人でも、問題なく発行できるわけです。
デビットカードを作っておけば、現金を持ち歩く不安も解消できますし、海外でも使用できるため、自己破産をする場合は、デビットカードを作成することをおすすめします。
デビットカードについては以下を参照ください。
https://www.visa.co.jp/pay-with-visa/find-a-card/debit-cards.html
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