自己破産は家族に秘密でできる可能性はあるが難しい
- 「家族に秘密で自己破産したいのだけど・・・」
- 「自己破産を家族に秘密で進める方法はあるの?」
自己破産は、裁判所を介する手続きのため、提出義務のある書類などから、家族に秘密で進めることが難しいのではと思っている人は多いのではないでしょうか。
確かに、自己破産は、任意整理と比べると家族に秘密にしておくことは難しいかもしれません。
しかし、家族にバレるポイントを押さえておくことで、秘密に進めていくことも十分に可能なのです。
自己破産とは?

自己破産とは、裁判所に申し立てを行い借金の返済を免除してもらうことのできる債務整理の手続きのひとつ。
任意整理や個人再生と違い、借金がゼロになるため、返済していくための安定した収入がなくても、手続きをすることができます。
ただし、借金が免除される代わりに、自宅や車などの財産(20万円を超えるもの)を手放さなければなりません。
また、手続き期間は、一定の仕事や資格に制限がかかったり、海外に行くことができない場合もあります。
さらに、自己破産は借金を作った理由について問われます。
ギャンブルなどが原因で作った借金であれば、自己破産が認められない場合もあります。
自己破産の手続きには時間や費用そして、手間がかかりますが、家族に秘密で進めることはできるのでしょうか。
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家族に秘密で自己破産できる?
基本的には、家族に秘密で自己破産の手続きをすることができます。
なぜなら、自己破産は、個人単位でするものであり、妻や夫といった配偶者や子供、親には関係ありません。
あくまでも、あなたの借金について手続きするものであり、申し立てをする本人の借金と財産の清算手続きです。
そのため、同居している家族が、あなたが自己破産をすることを把握しておく必要は無いのです。
そして、家計を共にしている場合でも、家族の財産や借金にあなたが自己破産することが影響することはありません。
しかし、あくまでもこれは“基本的には…”という話です。
基本的に秘密にしておくことが可能なわけであり、実際のところ家族に秘密にしたまま、自己破産の手続きを進めていくためには、いくつかの注意点があります。
自己破産手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2つがあり、このどちらで自己破産が進むかによって家族にバレる率は大きく変わってきます。
同時廃止の場合
家族に自己破産の手続きを秘密で進められる可能性が高いのは、同時廃止の場合です。
同時廃止の場合には、裁判所に自己破産を申し立てをし、手続きが開始するのが決定するのと同時に自己破産が終了します。
これは、自己破産をする際にあらかじめ、あなたがお金に換えられるような財産を持っていない場合に進められる手続きです。
同時廃止の場合には、あなたの財産を調査・管理・換価処分する破産管財人を立てる必要もなく、管財事件に比べると、手続きが早くそして簡単に済みます。
そのため、家族に秘密で手続きを進めてしまうことができる可能性が高いのです。
また、破産管財人が不要な分、自己破産にかかる費用についても安く済むことも特徴です。
管財事件の場合
一方で、自己破産の手続きを、管財事件(財産があると裁判所に判断された場合に選択される)として扱われる場合には、家族に秘密にしておくことが難しいです。
なぜなら、管財事件の場合には、裁判所から破産管財人として弁護士が選任されます。
この破産管財人は、あなたの財産がどれくらいあるのか?どのくらい価値があるのかを把握し、財産を現金にした上で、借金のあるカード会社へ平等に返済します。
破産管財人が選任されると、管財人への費用もあなたが負担しなければなりません。
そのため、同時廃止に比べると、費用も時間も手間もかかります。
管財事件になった場合、20万円以上の財産は、原則として処分しなければなりません。
そのため、車や自宅などを手放す必要があるので、理由を聞かされることなく、車が無くなったり、賃貸に引っ越しを求めると、あなたが自己破産をしたことを疑われることになるでしょう。
最も、家族が納得できる理由を説明できるのであれば秘密に進められるかもしれません。
また、管財事件では、あなた宛ての郵便物が全て破産管財人の元に届くようになります。
郵便物が全く届かないことで自己破産を疑われる可能性は多いにあり得るでしょう。
家族にバレてしまう場合は?
管財事件の場合、同時廃止に比べると自己破産をしていることを家族に秘密にしておくことは難しいです。
では、具体的にどのような場面でバレてしまうのでしょうか。
自己破産を家族に秘密で進めるために注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。
自宅や車などの財産を処分しなければならない場合
自己破産をすると、住宅ローンが残っている自宅は手放さなければなりません。
また、ローンを完済している持ち家であっても、自己破産をするあなた名義の家であれば、手放さなければなりません。
自己破産によって、自宅を失ってしまうとあなただけでなく、同居している家族も引越しを余儀なくされてしまいます。そのため、自己破産をしたことを秘密にしておくことは難しいです。
ただし、家族の所有している住宅の場合には、あなたが自己破産をしても、失うことはありません。
また、自動車については、ローンを返済中の場合には、自己破産によって手放さなければなりません。
一括で購入した場合や、ローンをすでに支払っている場合には、自動車の価値が20万円以上を超える場合には、手放さなければならないことが多いです。
家族が保証人である場合
借金に連帯保証人がいる場合は、自己破産をするとバレてしまいます。
そのため、家族を借金の保証人にしている場合には、秘密にしておくことができません。
自己破産すると、カード会社は連帯保証人へ借金の返済を請求します。
そうすると、保証人に、あなたが借金の返済ができなくなり、何らかの手続きを取ったということがバレます。
そのため、家族に秘密で自己破産の手続きをすることは不可能でしょう。
官報に載る
自己破産をすると、官報に名前が載ります。官報とは、国が発行している新聞のことです。
一般の人は、官報の存在自体を知らない場合が多いです。
そのため、官報に載ったからといって自己破産をしたことが家族にバレる可能性は低いでしょう。
しかし、名前と自己破産をしたという事実が掲載される以上、バレない可能性がゼロとは言い切れません。
あなた宛の郵便物は管財人の元へ行く
管財事件の場合、自己破産の手続き期間は、あなた宛の郵便が管財人に全て転送されます。
これは、管財人が、あなたの生活状況や経済状況を把握するために郵便物をチェックするためです。
同居している家族であれば、あなたへの郵便物が家に届かないことで、自己破産がバレてしまう可能性があります。
提出書類によって家族に知られてしまう可能性がある
自己破産を申し立てる際には、3ヶ月分までさかのぼって給与明細を提出する必要があります。
また、同居している家族が働いていて、収入がある場合には家族の給与明細も提出しなければなりません。
ですので、例えば、同居している妻がパートをしていて収入がある場合には、妻の給与明細の3か月分が必要になります。
妻に内緒で手に入れることができれば問題ありませんが、難しい可能性が高いでしょう。
そのため、家族に自己破産の事実を話し、協力してもらう必要がでてきます。
また、家族が年金をもらっている場合は、それも収入とみなされます。
そのため、過去3か月分の年金受給証明書を裁判所に提出することが求められます。
例えば、同居している親が年金を受給している場合、親から年金受給証明書を預かる必要があります。
そうすると、親に秘密で自己破産の手続きを進めるのは難しくなってしまうでしょう。
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