任意整理が会社にバレると退職になる?退職金への影響は?
- 「借金を整理すると会社を辞めなければならないの?」
- 「転職に影響はある?」
任意整理を考える人から、こういったうわさや疑問を聞くことがあります。
ですが、任意整理には関係ないことまで、他の個人再生や自己破産といった債務整理方法とごっちゃになって広まっていることも多いようです。
任意整理は債務整理の中では、デメリットの少ない方法です。
仕事に与える影響もとても小さいものになっています。
任意整理せず、借金が積み重なって返済が滞納したときのほうが、むしろ会社にバレる危険は大きくなります。
任意整理を正しく知って、借金が会社にバレないようにうまく活用しましょう。
仕事に影響が出る?

債務整理のうちで、仕事に影響があるのは自己破産だけです。
自己破産する人のうち次のような職業に就いている人は、破産手続が行われている間、その仕事をしてはいけません。
・弁護士や司法書士などの士業
・公安委員会や教育委員会などの委員
・質屋
・旅行業務取扱の登録者や管理者
・生命保険の外交員
・警備業者の責任者や警備員
・建築業者
・廃棄物処理業者
・調教師や騎手 など
こういった職業に就いている人は、自己破産するとき自分から一旦退職をしなければなりませんし、会社に申し出なければ会社が罰を受けることになってしまいます。
たとえば警備員が自己破産をするときは、警備員から事務員に一時的に配置換えになったり、会社を一時退職して自己破産手続が終わってから復職したりといったことが必要になります。
「債務整理すると会社にいられなくなる」と思っている人は、このあたりの情報が間違って伝わってしまったのでしょう。
実際には任意整理では、仕事にはまったく影響がありません。
会社に任意整理がバレる?
任意整理しても自分から言わない限り、会社にバレることはまずないといえます。
任意整理は裁判所を通さないので、他の債務整理のように、その気になれば誰でも見られる〈官報〉(政府が発行する情報紙のようなもの)に名前や住所が載ることもありません。
解決を依頼した弁護士や司法書士から、任意整理することをわざわざ勤め先に連絡することもありません。
もちろん任意整理をする相手側のクレジットカード会社などからも、会社に通知は行きません。
任意整理すると、お金の貸し借りについての情報を記録する〈信用情報機関〉に情報が載っていわゆる〈ブラックリスト〉に載った状態になりますが、それが一般の人にまで知られるのもありえないことです。
会社に言う必要もないので、上司にも同僚にもずっと秘密で通しましょう。
任意整理をすると自宅や職場に通知は来るのか?
もし会社にバレたら退職させられる?
先に書いたように、自己破産するときには一部の職種で一時的に退職しなければならないケースもあります。
しかし、任意整理ではそのようなことはありません。
もし万が一任意整理をしたことが会社にバレても、それを理由に退職させることは、労働基準法で禁止されています。
会社の規則に書かれていたとしても、それ自体が法律違反です。
任意整理を理由にクビになった場合は、不当解雇として裁判を起こすことができます。
心情として会社に居づらくなることは考えられますが、何も悪いことをしたわけではないので気をしっかり持って、堂々と勤めを続けてください。
退職金に影響はある?
任意整理したことは仕事とは何も関係ないので、退職金に特に影響することはないといえます。
いつ退職しても、会社で決められた額より減らされることはありません。
もし任意整理しないと、返済を滞納したときに、退職金まで差し押さえの対象にされることがあります。
任意整理には、そうしたことを防止する役割もあるのです。
転職に影響はある?
任意整理したことを履歴書に書く必要はありません。
債務整理は仕事上の出来事ではないので、履歴書の賞罰欄に書くことではないのです。
面接などでもわざわざ話す必要はありません。
ただし、任意整理をしたために信用情報機関のいわゆるブラックリストに載ってしまっているので、クレジットカード会社や消費者金融、銀行、信用情報機関などへの転職はほぼ不可能だといえます。
書類選考や面接の前など、どこかの段階で個人の信用情報を調べられ、そこで任意整理したことがバレて落とされることになります。
そういったお金を貸している会社を除けば一般企業でも公務員でも、転職には何も問題はありません。
滞納・延滞のリスク
任意整理などの債務整理をせず、そのまま返済を滞納したり延滞を続けていたりすると、給料が差し押さえになることがあります。
半年以上、場合によっては3ヶ月程度の滞納で、借りているクレジットカード会社や消費者金融から裁判を起こされます。
裁判になったら、借りているあなたが100%負けます。
借金を返していないあなたに対して、貸している側のカード会社などには一切落ち度がないからです。
裁判に負けると財産の差し押さえが実行されますが、真っ先に差し押さえられるのが給料です。
財産といえば思い浮かぶのは家や車でしょうが、そういったものは換金する手間がかかります。
それに比べれば給料は換金の必要がなく、しかも毎月支払われるものですから取りはぐれがありません。
給料を差し押さえられると、借金をしていることが会社に100%バレてしまいます。
差し押さえをされても、それを原因にクビにされることはありません。
ですが、普通の会社なら厳しい対応をされるでしょうし、昇進などには響くでしょう。
その後は会社に居づらくなり、退職に追い込まれるというのが一般的なパターンです。
何事もなかったかのように会社に居座り続ける人もいるにはいますが、それはなかなか難しいでしょう。
給料の差し押さえはいきなりされるのではなく、裁判所での手続が必要になります。
そのため、クレジットカード会社から催促の通知が届く、差し押さえの予告書が届く、カード会社があなた名義の〈公正証書〉(公証人と呼ばれる法律家が作る書類)を作成するなどの、いってみれば前ぶれのようなものがあります。
そのどこかの段階で、滞納した分を返済すれば差し押さえを防げますし、カード会社に連絡すれば差し押さえを待ってもらえることもあります。
滞納分の返済がどうしても無理なら、返済を滞納し始めたとき早めに任意整理の手続を進めましょう。
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