任意整理の利用者数は正確には分からないが相当数いることが予想される
- 「任意整理する人ってどれくらいいるの?」
- 「任意整理する人は自己破産や任意整理と比べて多いの?」
借金の返済がキツくなってきた人によく選ばれているのが、任意整理という債務整理方法です。
では、任意整理を利用する人はどれくらいいるのでしょうか。
自己破産や個人再生を利用する人と比べてどれくらい多いのでしょうか。
借金をする人は減っている?

1990年のバブル崩壊後、借金をする人は増え、一時は個人の借金を全て合計すると約20兆円を超えていました。
以前は裁量規制がなかったため、借金の上限がなく、グレーゾーン金利で貸付をしていた業者も多かったので自己破産や自殺をしてしまう人がとても多かったんです。
今は裁量規制が設けられ、グレーゾーン金利も撤廃されたため、多額の借金で苦しむ人は減り、個人の借金の合計は約6兆7,800億円になりました。
金額だけ見るととても多く見えますが、一時期の1/3まで落ち着いたんですね。
借金をしている人はどれくらい?
では、借金をしている人はどれくらいいるのでしょうか。
消費者向けの貸付件数は約3,702万件、国民の3.4人に1人が借金をしていることになります。
これは実質借金ができない子供や高齢者も含まれているため、借金ができる15歳代〜64歳に絞ると、約44%の人が借金をしていることになります。
ただこれは、住宅ローンや車のローンも含まれますし、キャッシングで数万円程度の借金しかしてないような人も含まれます。
消費者金融に絞って見てみると、残借入残高のある利用者数は1,000万人を超えていて、およそ10人に1人が消費者金融で借金をしていることになります。
消費者金融では2006年に改正貸金業法が成立し、2010年に完全施行されてから、年収の1/3までしか借りることができなくなったので、制限のない銀行カードローンに移る人も増えました。
それを考慮すると、消費者金融だけでなく銀行カードローンで借金をしている人も多く、実際はもっと多くの人が借金をしていることになりますね。
ここ何年かは、雇用が不安定な状況が続き、賃金が上がらないパートやアルバイトの人が増加しています。
自己破産の申立の中でも、一番多い破産原因は生活苦・低所得となっています。
実際に自己破産はしていなくても、自己破産予備軍は100~150万人ほどいるとも言われています。
特に若い人の雇用の低下は深刻なので、生活のために借金をする人は増えていくでしょう。
任意整理する人はどれくらいいる?
では、任意整理をしている人はどれくらいいるのでしょうか。
実は任意整理は、自己破産や個人再生のように裁判所を通して手続きするわけではないので、正確な件数というのは測ることができません。
任意整理は弁護士に依頼し、あくまでカード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)と話し合いで手続きを進めていきます。
そこに法的な強制力はなく、カード会社としても応じなければならない義務というのもありません。
そういった意味で、自己破産や個人再生のように人数が測れないのが任意整理の特徴とも言え、年間でこのくらいの人数が任意整理しているとは一概には言えないのです。
しかし個人再生や自己破産に比べ任意整理は費用が安いうえに手続きが簡単といったメリットがあり、利用する人が一番多い債務整理であるということは言えます。
なお任意整理では借金の元本自体は返済していく必要があるので、借金の総額自体はそんなに変わらない場合もあります。
平均すると20~30%くらい借金が減った、という人が多いようです。
ただ、任意整理では過払い金があれば一緒に請求し、借金の総額がグッと減ることもあります。
この過払い金請求の増加で支払いに追われた消費者金融は赤字決算となり、いくつもの会社が倒産しました。
有名なところで行くと武富士が倒産に追い込まれましたが、それくらい過払い金請求をしたり任意整理をする人が多いということなんですね。