任意整理はなぜ認められる?
カード会社にとって最も損が少ない債務整理だから
任意整理は、裁判所を通さない債務整理です。
弁護士があなたの代理人となって、カード会社へ利息の免除や支払い回数の交渉を行います。
任意整理はあくまで交渉なので、あなたがそれを望んでも、カード会社に拒否されてしまい、交渉がうまくいかないケースもあります。
本来であればあなたが支払うべき利息を「免除してほしい」という交渉なのですから、カード会社からすれば、受け入れがたい申し出のはずです。
しかし、現在ほとんどのカード会社は任意整理を拒否しません。その理由は、カード会社にとって、個人再生や自己破産などその他の債務整理をされるよりは、任意整理で手を打ったほうが損が少ないからです。
任意整理では元本はきっちり返済される
「個人再生や自己破産より、任意整理のほうがカード会社が得をする」とは、一体どういうことなのでしょうか。
ここで、カード会社の立場に立って債務整理について考えてみましょう。
たとえば、あなたが400万円の借金を債務整理しようと考えているとします。
任意整理を選択した場合、利息のみの免除となりますので、元本の400万円はカード会社へ返済しなければなりません。
つまり、カード会社にとっては、貸し出した400万円の返済だけは死守できることになります。
しかし、個人再生を選択した場合、利息の免除だけでなく、元本が減額されます。
400万円の場合、個人再生では最大で100万円まで減額されますので、あなたが返済する負担はずいぶん小さくなりますが、カード会社にとっては、貸し出した元本さえ回収できないため、大きな損になってしまいます。
さらに、自己破産を選択した場合、利息も元本も免除されます。
あなたは返済を免除される代わりに、財産の一部を没収されてしまいます。
カード会社からすると、あなたから没収した財産の一部が換金され戻ってきますが、貸し出した元本には到底満たないため、やはり大きな損になってしまうわけです。
このように、他の債務整理と比較すると、任意整理はカード会社に返ってくる金額が大きく、カード会社が損しにくい債務整理であるといえます。そのため、「他の債務整理をされるくらいなら、任意整理を認めてしまったほうがマシ」という思いから、カード会社は任意整理を認めてくれるのです。