無職の債務整理は基本的に自己破産に限られる
カード会社からの借金がかさんで、返済が難しくなったら、一刻も早く債務整理を検討すべきでしょう。
ですが一方で、無職、無収入の場合でも、債務整理は利用できるものなのでしょうか?
今回は、無職でも債務整理はできるものなの?ということについて、詳しく解説いたします。
無職でも債務整理はできる?

無職の人こそ、早めに弁護士や司法書士へ相談するべきです。借金問題は時間が経過すればするほど、状況が悪化していきます。
「現在の収入やライフスタイルでは、現実的に借金を完済するのは難しい」「借金を返すために他のカード会社から借金をするようになった」
...このような状況に陥ってしまい、最悪の結末を迎える人も少なくありません。
逆に、早期に対応ができれば、経済的に更生できる可能性が高まります。
無職だと債務整理はできない場合も
現在、失業中だが、借金もあり困っている...という人は、債務整理をすることができるのでしょうか?
先に結論から述べると、無職であっても、自己破産なら、債務整理することができます。ただし、個人再生は不可能ですし、任意整理でも、できない可能性が高いです。
債務整理と職業・収入との関係
借金をする時には、職業や年収などを聞かれ、審査をされます。これは、借り入れをする人の返済能力が十分にあるのかどうか、確認しておく必要がある為です。そして、場合によっては審査に落ちることがあります。
一方、債務整理についてはどうでしょうか?個人再生や任意整理については、手続き後も借金の返済をしなければなりません。つまり、手続きをするにあたり、本人の返済能力の有無が問われます。
無職では、個人再生は不可能ですし、任意整理でも出来ない可能性が高いです。
したがって、債務整理でも、職業や収入は影響するといえます。他方、自己破産であれば、手続き後、借金の返済はなくなるので、職業や収入とは無関係に、手続きを行うことができます。
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無職でも債務整理をする方法
それでは無職の人は、債務整理の手続きをどのように進めたらよいのでしょうか?
債務整理の手続き費用
債務整理の手続きには、費用が必要となりますが、一括して事前に支払わなくてはいけない訳ではありません。
たいていの弁護士事務所や司法書士事務所では、分割での支払いができるので、月々の支払い額を、かなり楽に支払える額に、おさえることができます。
また、後払いに対応している法律事務所もあるので、確認してみるとよいでしょう。
といっても、一銭も持っていないという状況であれば、無理なケースもあります。
法テラスの利用
そのような場合は、法テラスの利用を検討する、という手もあります。法テラスは、国が母体となっている組織で、主に弁護士の紹介業務を行っています。そればかりではなく、弁護士費用を立替制度もあるのです。
無職で、まとまったお金がないという場合は、この立替制度を利用して、債務整理の手続きができる訳です。
もちろん、あくまでも立替なので、返済は行う必要があるのは留意してください。といっても、月々、数千円程度の返済でよいので、経済的余裕がない人にとっては、非常に助かる制度です。
一方で、法テラスのデメリットも留意しておく必要があるでしょう。法テラスでは、自分では弁護士を選ぶことが出来ません。したがって、債務整理に強い弁護士に当たれるかどうかは、運次第となります。
このように、しっかりと債務整理の実績のある専門家を選ぶのか、費用の問題で法テラスを選ぶのか、事前にじっくり検討してみるべきでしょう。
無職でも任意整理ができる場合がある
任意整理では、整理後にも借金の支払いが残ります。したがって、月々返済ができるだけの収入を得ている人であることが、条件となります。
基本的に無職の人は、任意整理は利用できないと考えた方がよいでしょう。
もっとも、無職でも任意整理が利用できるケースも無い訳ではありません。たとえば、専業主婦なら、自分は無収入でも夫が会社員で収入を得ているのであれば、「収入がない」状態とはいえませんね。
もし、家計から捻出した費用で、月々の返済ができるのであれば、任意整理は利用できます。カード会社側からすれば、月々の返済してもらえさえすればよいので、まったく問題ありません。
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個人再生は利用できない
個人再生は自己破産と違って、自宅などの財産の差し押さえがないなど、メリットも大きいので、この制度を利用したいと考えている人も少なくないでしょう。
ですが、個人再生は、利用する為のいくつかの条件の中に「安定した収入を継続的に得られること」が含まれるので、無職では手続きを行えません。
個人再生は、裁判に申し立てをして、借金の総額を約5分の1程度にまで減額してもらった上で、残りの借金を原則3年(場合によっては5年に延期可能)かけて、カード会社に分割で支払っていくことで、借金を整理する、というものです。
つまり再生計画に従って、借金の返済を続けていけることが要求されるのです。なお、安定した収入といっても、必ずしも正社員に限られる訳ではなく、アルバイトなどでも、要件を充たすことは可能です。
現在無職でも、今後仕事に就いて収入を確保することで、個人再生を検討する...ということは、考えられるでしょう。
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自己破産を利用する
まったく収入がなく、まとまった現金もないという人は、自己破産という選択肢があります。自己破産ならば、手続き後の支払いは必要ないので、無職・無収入でも手続きをおこなうことが可能となりやすいのです。
なお、個人再生は手続き後に借金の返済があるので、無職の人では返済のメドが立たず、利用することができません。
実際、生活保護や無職の人は、自己破産をする人が多いのです。もし弁護士や司法書士に相談して、(経済的な理由で)任意整理や個人再生は難しいといわれた場合は、自己破産で借金を整理することが、もっとも有効な手段となります。
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過払い金があれば実質タダの場合も
もし2008年以前からの借金だった場合は、過払い金請求を行うことできる可能性があります。
多くのカード会社は、2008年以前まで、利息制限法の上限金利を上回る金利で、貸付をおこなっていました。
なので、カード会社から借金をしている人の中には、利息制限法の上限金利にもとづいた「引き直し計算」をすれば、借金は減る可能性がありますし、場合によっては、過払い金が借金を上回っていると、手元に現金が戻ってくるのです。
こ
れが、一般的に過払い金と呼ばれているものです。
のみならず、借金はゼロになる上に、専門家へ報酬を支払っても、まだ手元にお金が残るというケースもあります。実質タダで債務整理ができる訳です。
こんな都合の良い話があるのか?と思うかもしれませんが、2008年以前の借入の有無や、その後の取引履歴の状況などを調べてみる価値は、大いにあると思います。心当たりのある人は、一度法律事務所にて、相談してみるとよいでしょう。
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まとめ
無職、無収入の人でも債務整理はできますし、その後、債務整理をしたからといって、職業が制限される訳でもありません。
もっとも、債務整理をする場合は、費用が必要となるので、このハードルをいかにしてクリアするのか?という問題があります。
一方で、お金がないからといって、ズルズルと問題解決を先延ばしにするのは危険です。借金だけが増え続けてしまうからです。
借金で「ちょっと厳しいかな...」と思ったら、一刻も早く専門家に相談するようにしましょう。
- 無職でも債務整理を利用することはできるが、手続きの方法によっては、事前にまとまった費用が必要だったり、整理後の返済計画のメドが立たず、利用できない場合もある
- 無職では任意整理と個人再生は基本的に利用できない
- 無職でお金がない場合は、法テラスで無料相談や立替整理を利用するのも手
- 自己破産なら無職でお金がなくても利用できる可能性が高い